発電施設における石炭の燃焼は、ボトムアッシュやフライアッシュなどの固形廃棄物と、大気中に排出される排ガスを生成します。多くの発電所では、排ガス脱硫(FGD)システムを用いて排ガスからSOxを除去することが義務付けられています。米国で使用されている主要なFGD技術は、湿式スクラビング(設置数の85%)、乾式スクラビング(12%)、乾式吸着剤注入(3%)の3つです。湿式スクラバーは通常、SOxの90%以上を除去しますが、乾式スクラバーでは80%しか除去できません。この記事では、湿式スクラバーによって生成される廃水を処理する最先端の技術を紹介します。FGDシステム.
湿式FGDの基礎
湿式FGD技術は、スラリー反応部と固形物脱水部という共通点を持っています。反応部では、充填塔、棚段塔、ベンチュリスクラバー、スプレースクラバーなど、様々なタイプの吸収塔が使用されています。吸収塔は、石灰、水酸化ナトリウム、または石灰石からなるアルカリ性スラリーを用いて酸性ガスを中和します。経済的な理由から、最近のスクラバーでは石灰石スラリーが使用される傾向にあります。
吸収塔の還元条件下で石灰石がSOxと反応すると、SO2(SOxの主成分)が亜硫酸塩に変換され、亜硫酸カルシウムを多く含むスラリーが生成されます。初期のFGDシステム(自然酸化システムまたは抑制酸化システムと呼ばれる)では、亜硫酸カルシウムが副産物として生成されていました。新しいFGDシステムでは、FGDシステム亜硫酸カルシウムスラリーを硫酸カルシウム(石膏)に変換する酸化反応器を採用しており、これらは石灰石強制酸化(LSFO)FGD システムと呼ばれます。
現代の典型的なLSFO FGDシステムは、底部に一体型の酸化反応器を備えたスプレータワー吸収塔(図1)またはジェットバブラーシステムのいずれかを採用しています。いずれの場合も、ガスは無酸素条件下で石灰石スラリーに吸収されます。その後、スラリーは好気性反応器または反応ゾーンに送られ、そこで亜硫酸塩が硫酸塩に変換され、石膏が沈殿します。酸化反応器における水圧滞留時間は約20分です。
1. スプレーカラム式石灰石強制酸化(LSFO)FGDシステム。LSFOスクラバーでは、スラリーが反応器に送られ、そこで空気が添加されて亜硫酸塩が硫酸塩に強制酸化されます。この酸化により亜セレン酸塩がセレン酸塩に変換され、後続の処理が困難になるようです。出典:CH2M HILL
これらのシステムは通常、14%~18%の浮遊物質濃度で運転されます。浮遊物質は、微細および粗粒の石膏、フライアッシュ、そして石灰石とともに混入した不活性物質で構成されています。浮遊物質濃度が上限に達すると、スラリーがパージされます。ほとんどのLSFO FGDシステムでは、機械式固形物分離・脱水システムを用いて、パージ水から石膏などの固形物を分離します(図2)。
2. FGDパージ石膏脱水システム。一般的な石膏脱水システムでは、パージ粒子は粗粒と細粒に分級(分離)されます。細粒はハイドロクローンからのオーバーフローで分離され、主に大きな石膏結晶(販売対象)で構成されるアンダーフローが生成されます。このアンダーフローは、真空ベルト脱水システムで低水分まで脱水できます。出典:CH2M HILL
一部のFGDシステムでは、固形物の分級と脱水に重力式濃縮機や沈殿池、遠心分離機や回転式真空ドラム脱水システムを使用していますが、ほとんどの新しいシステムではハイドロクローンと真空ベルトを使用しています。脱水システムにおける固形物除去率を高めるために、ハイドロクローンを2台直列に接続するシステムもあります。ハイドロクローンからのオーバーフロー水の一部をFGDシステムに戻し、排水量を削減する場合もあります。
FGD システムの構成材料の耐腐食性による制限により、FGD スラリーに塩化物が蓄積した場合にもパージが開始されることがあります。
FGD排水特性
FGD廃水の組成には、石炭と石灰石の組成、スクラバーの種類、使用される石膏脱水システムなど、多くの変数が影響します。石炭は、塩化物、フッ化物、硫酸塩などの酸性ガスに加え、ヒ素、水銀、セレン、ホウ素、カドミウム、亜鉛などの揮発性金属も排出します。石灰石は、鉄とアルミニウム(粘土鉱物由来)をFGD廃水に排出します。石灰石は通常、湿式ボールミルで粉砕され、ボールの浸食と腐食によって石灰石スラリーに鉄が排出されます。粘土は不活性微粒子を発生する傾向があり、これが廃水がスクラバーから排出される理由の一つです。
著者: Thomas E. Higgins, PhD, PE、A. Thomas Sandy, PE、および Silas W. Givens, PE。
Email: caroline@rbsic-sisic.com
投稿日時: 2018年8月4日